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2008年6月25日

あさの山で自然の息吹を堪能


 去る21日土曜日、久し振りに能登半島の「あさの山」を訪れました。

「あさの山」は5年前からケヤキの植林を続けている浅野太鼓の山林で、すでに約1万8000本のケヤキを植樹しています。山に向かう時はいつもそうなのですが、昨年植えた木はどれほど大きくなったか、3年前の木はどれほど背が高くなったか、早く確かめたくて胸がワクワクします。


 北陸はその前日に梅雨入りし、このところぐずついた空模様が続いていました。お天気を気にしながら、能登海浜道をひた走ることおよそ2時間。

「あさの山」は恵みの雨をたっぷりと吸い込んで、みずみずしい若葉が元気に初夏の風にそよいでいます。尾根に登って全体を見渡し、谷に分け入って一本一本の木を見て歩くと、面白いことに気づきました。

大地にしっかりと根を張り、太い幹が早や数メートルの高さに成長した木もあれば、その隣では今にも立ち枯れそうな貧弱な木が細い枝を頼りなく伸ばしています。同じ環境の同じ土壌で、旺盛な生命力を示す木と脆弱な木が同居しているのは、どうした理由によるのでしょう。

これが自然界の厳しさ、自然淘汰とは承知しつつも、育ちそびれた小さな木がなんともいとしく、心の中で「頑張れよ」と声をかけながら下草を払ってやりました。


 幸い雨にも遭わず、たっぷりと森のオゾンを浴びた夏至の遅い夕暮れ。夏に向かってますます緑を濃くするケヤキの様子を想像しながら「あさの山を」後にした一日でした。


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2008年6月18日

実り多かった山陰周遊


 先週末の14・15日は中国地方に出張。その一日目、島根県仁多町で活動されている「仁多乃炎太鼓」山田会長さんのお招きで、飛鳥流和太鼓奏者・飛鳥大五郎氏の門下生が集まる「飛の会」の第10回講習会にお邪魔しました。


会場は広島県府中市上中の矢野温泉。「飛の会」は郷土芸能の継承と発展に情熱を燃やす太鼓団体が飛鳥氏を囲んで熱い思いを語り合ったり学びの場とする勉強会で、今回は山口、島根、広島の6チームが参加。私のつたない太鼓レクチャーに真剣に耳を傾けてくださり、また誰もが飛鳥氏を師として慕っている様子も心あたたまるものがあり、さらに夜の親睦会も盛り上がり、有意義な一日を過ごさせていただきました。


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(写真1) 「飛ぶ会」での集まり


 翌15日は、国道432号から314号線に乗り継ぎ、出雲大社に参拝。神社としては珍しく松の古木が樹齢数百年の枝を広げる境内を散策し、大国主命を祭神とする拝殿で明年の創業400周年を難なく迎えられるよう、心を込めて手を合わせました。


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(写真2)出雲大社にて


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(写真3)出雲大社の大松


 その足で国道9号線を東上し、東出雲市の「夢幻太鼓」結成5周年記念コンサートへ。結成当初はどこかぎこちなかった演奏も今では余裕をみせるほどになり、その成長ぶりに拍手。これからも精進し、末永い活動を続けてください。


帰路は夕焼けに染まる大山の雄峰を眺めながら米子自動車道を南下、中国自動車道から名神、北陸道を経て、深夜に松任帰着。「仁多乃炎太鼓」山田会長さんはじめ幹事の皆さん、「夢幻太鼓」の金山会長さん、そして長い道中のドライバーを務めてくれた社員の杉浦君、本当にお疲れ様でした。

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2008年6月13日

箱根への旅


 「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 娑羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす」。『平家物語』の冒頭がふと頭に浮かんだのは、9日、小田原市の二宮神社から小田原城に向かって歩く道すがら、苔むした城の石垣を見上げた時のこと。先ほど訪れた二宮神社の境内に娑羅双樹が小さな花をつけていたこともあったのですが、今、目の前にそびえる小田原城(写真 1)も、まさに「盛者必衰」の舞台。元々は小早川氏の居城だったものを大森氏に奪われ、さらに北条氏政・氏直父子から阿部氏、稲葉氏、大久保氏と、一時は権勢をほしいままにした武将たちが次々と城主になったものの、やがては政争に敗れてこの城を去っていきました。そして小田原城自体も1500年代には日本で最大規模の城郭に発展しながら、震災や廃藩置県で倒壊・解体を余儀なくされ、今では北条氏によって築かれた石垣と、昭和35年に復興された天守閣がかろうじて往事の面影をたたえています。平家物語は、さらに「おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし」と続きます。知らず知らずのうちに胸にはびこる「慢心」という悪魔に気をつけよと、石垣の苔(写真 2)に教えられたような思いでした。

 小田原から次に向かったのは、箱根町足柄山の東裾野に位置する大雄山最乗寺(写真 3)。ここは「箱根八里」と歌にもうたわれた箱根街道の道中にあり、福井の永平寺、能登の総持寺祖院に次ぐ曹洞宗の古刹。参道には樹齢600年以上という杉の古木(写真 4)が並木をなし、その見事さには圧倒されるばかり。足柄山の金太郎が熊にまたがって飛び出してきそうな木立の中には30あまりの堂塔が建ち並び、新緑の美しさと境内の厳かさに心が洗われるようでした。1394年の創建からおよそ600年。今なお泰然とたたずむ拝殿で手を合わせ、長い歳月のなせるわざに新たな元気をもらって足柄山を後にしたのでした。

小田原城
(写真 1)小田原城

石垣の苔
(写真 2)石垣の苔

大雄山最乗寺
(写真 3)大雄山最乗寺

樹齢600年以上の杉の古木
(写真 4)樹齢600年以上の杉の古木

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2008年6月 6日

伊勢神宮にて奮闘を誓う


 木々の緑が日に日に濃くなっていく今日このごろ、このまま梅雨入りするのではないかと思う雨模様が続いています。

 この一週間を振り返ると、相変わらずの東奔西走。まず先月末は、二日間で福井県坂井町の「氷川太鼓」さん、三重県御浜町の「さざなみ太鼓」さん、三重県伊賀町の「青山太鼓」さん、愛知県西尾市の「青空太鼓」さんと、計4カ所にお邪魔し、それぞれ心温まるひと時。二日おいて新潟県太鼓連盟の第22回総会で講演。一日おいて福井県越前町で、8月に開催される太鼓コンサート「OTAIKO響08」の第1回実行委員会。そして翌6月3日は、社員全員に協力会社各位のご参加もいただき、我が社の創立399年祭として伊勢神宮参拝を行いました。
 例年、創立記念日は社内で簡素に式典を催してきましたが、今年は創業400周年を明年に控えていることもあり、無事に400年を迎えられますように、との祈りも込めた参拝でした。

 恵みの雨の中、厳かな雰囲気の外宮・内宮で手を合わせ、神楽殿にて古式ゆかしい神事に頭を垂れていると、一つの感慨が湧いてきました。400年という長い時間の積み重ねと、たまたまその過程に居合わせて自分の歴史をつちかうことができた幸いを、あらためて実感したのでした。多くの皆さんと出会うことができた太鼓屋に生まれてよかった。その感謝の思いを胸に、400周年までの一年、ますます気を引き締めて走り続けますので、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

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