2008年11月 6日
深まりゆく秋、出会いと決意
秋の深まりとともに野山が日々紅葉に染まっていく一方、浅野太鼓の駐車場では、10月の半ばから咲き始めた山茶花(さざんか)の花が風に吹かれて薄桃色の花びらを散らしています。ご存じのように、山茶花は椿の仲間。しかし椿は咲き終えると首から花ごと「ぽとり」と落花するのに対し、花びらを一枚一枚音もなく散り敷いていくのが山茶花。同じ仲間でありながら、二つの花がまったく異なる散りぎわを見せるのは、考えてみればなんとも不思議な自然界の理です。
さて、先週の三連休は、好天もあってか浅野太鼓には遠方からのお客様がたくさんお越しくださいました。まずは新潟から、40年来のおつきあいがある友人。所用で京都へ向かう途中とのことで、久し振りにゆっくりと太鼓談義。そして大阪からは、低音に対してひとかたならぬこだわりをもたれている男性のお客様。仕上がりの音について何度も電話で確認されたうえでのご検分で、実業家として成功をおさめられている方ならではの慎重な姿勢を垣間見た思いでした。さらに滋賀からは二人連れの若い女性のお客様。こちらも理想の音づくりを目ざし、私のアドバイスに熱心に耳を傾けてくださる姿が印象的でした。また私事で恐縮ですが、4日火曜日の夜にNHKテレビの『歌謡コンサート』で、次女の町子が坂本冬美さんの横で太鼓を打たせていただいているシーンを目にしたのも嬉しいできごとでした。
こうしていろんな方々が浅野太鼓を贔屓にしてくださるのも、我が社を信頼してくださっているからにほかならないと思うにつけ、このところ不用意なミスを繰り返して一部のお客様に多大なご迷惑をおかけしていることは、なんとも残念でなりません。
若いころ、岐阜県高鷲村で呉服店を営みながら太鼓チームに参加されていたHさんからこんな言葉を聞きました。「商売をしている以上、土曜も日曜もあると思うな。たとえ足袋一足の注文でも、私ならどこまででも走って届ける。それが信用をつくる」。まさにこれこそ商売の原点。我が社が年末年始以外は土・日・祝日も営業するようになったのは、その言葉がずしりと胸に響いたのがきっかけでした。なんと、今回の不行き届きの一つは、よりにもよってそのHさんに納品を約束した日に太鼓が届いていないというのですから、慚愧の極みです。ただちに岐阜に向けて従業員を走らせたのは言うまでもありません。
ちょっとした油断が重なれば、400年かけてつちかってきた信用もやがて失われていくことにもなりかねません。そうならないよう、いっそうきつく気を引き締めて諸事にあたってまいりますので、どうか引き続きのご愛顧をよろしくお願いいたします。
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