2010年1月28日
大寒だより
正月が終わったと思ったら、もう月末。先日、新聞のコラムに、なぜ年をとると月日のたつのが早く感じられるかということが面白く書いてありました。それによると一年の時間の感覚は、分母を年齢、分子を365日にした計算式で割り出せるそうです。つまり1歳の赤ちゃんは365/1で、一年は365日。10歳だと365/10になり、ぐんと一年がたつのが早くなります。その計算だと60歳では365/60ですから、1年の長さはなんと約6日。もちろんこれは冗談ですが、なるほど、そう言われれば、当たらずとも遠からずというような気もしますね。
そんなふうに足早に終わりつつある1月の半ば、オーストラリアから来客。熊本のご出身で、今はメルボルンで太鼓の振興・拡大に努めている坂本敏範さん。和太鼓に対する熱い思いをとうとうと語る姿は情熱の人そのもので、そのフロンティア精神には頭が下がる思いでした。オーストラリアではほかにも佐藤綾子さんやシドニーの和太鼓グループTaiko'zも大活躍で、これからますます太鼓が盛んになりそうで期待がもてます。
(メルボルンの坂本様)
その翌週末は四国へ。最初に向かったのは愛媛県の旧津島町で、10年前に製作した樹根大太鼓「平安」の張替納品。久し振りに訪れた太鼓館は太鼓の台も床も塵一つなく清められ、太鼓つくり手としては嬉しい限りでした。次にこの太鼓の革をはずすのは2020年。というのは、この太鼓は実はタイムカプセルの役目も兼ねており、胴の内側には製作年にこの町に生まれた赤ちゃん全員の名が刻んであります。その子たちが成人式を迎える時に、革をはずして対面してもらおうというもの。その日まであと10年。私もとても楽しみにしています。
(樹根太鼓)
その足で今度は高知へ。高知市で和太鼓普及に尽力している「土佐和太鼓 一響館」主催の「高知和太鼓コンテスト」に審査員としてお邪魔しました。一響館は永く学校教育や生涯学習に携わってこられた明神和宏先生が主宰する太鼓研究所で、コンテストは今年で4回目。一般の部と子供の部を合わせて26チームが参加し、年々向上している力量には驚くばかり。演奏技術の向上と地域の親睦を目的に開始されたコンテストの成果は、確実に実を結んでいるようです。明神先生、高知の皆さん、これからも頑張ってください。
さて、1月20日の大寒から2月いっぱいにかけては、一年でもっとも寒さが厳しい時期。このブログを読んでくださっている皆さんも風邪などひかないよう、どうかお体に気をつけてお過ごしください。
2010年1月 3日
新年のごあいさつ
新年おめでとうございます。
2010年が始まりました。北陸は大晦日から寒気が強まり、元旦の朝は一面の雪景色。社会的にいろんな意味で息苦しさのあった昨年の空気を一新するかのような、清浄で静謐な年明けでした。
そんな風景を眺めながら、年の始まりにあたって思うのは、やはりこの一年をどう進むか。そして10年後の目標をどこに置くかということ。予測不能の現代とはいえ、いや、だからこそこの会社を預かる者としては明確な指針をもって社業を推進していかなければなりません。厳しい経済環境の中、不安の多いスタートではありますが、何よりも「人の心」を大切に、智恵と創意を駆使して精いっぱい頑張ってまいりますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、年明けの我が社の明るいニュースを一つ。1月15日、毎年アメリカ・カリフォルニア州アナハイムで開催されている世界最大の楽器の祭典「NAMM Show」2010において、浅野太鼓は業界最古の打楽器メーカーとして表彰を受けることになりました。昨年末に飛び込んできた思いがけないお知らせはまさに創業400周年の年をしめくくるにふさわしく、式典にはこれからの社業を担う社長の恭央と浅野純代を出席させることにしました。外国の大きな式典で表彰されることの緊張感、そこで生まれるたくさんの人との新しい出会い。それらが恭央の今後のモノづくりの姿勢にいい影響を与えてくれればと思います。これもひとえにNAMMに浅野太鼓を紹介してくださったJapan Music Trades誌の澤野社長様ならびに前ヤマハ・トレーディング・ミュージック社梅蔭部長様と山内様のご縁によるもの。お三人には心より感謝申し上げます。
恭央は翌日、十数年前にシルク ド ソレイユに納めた太鼓の張替にラスベガスへ。世界最大の歓楽街で、世界屈指のパフォーマンス集団の舞台にふれ、ここでもきっといい経験ができることでしょう。こうしてどんどん見聞を広め、十八代当主を受け継ぐ「器」を培っていって欲しいと願っています。
皆さまもそれぞれに年頭の展望を描かれたことと思います。お互いにその目標点に一歩でも近づけるよう、全力で頑張りましょう。
まずは本年の皆さまのますますのご多幸とご健康をお祈りいたしますとともに、旧倍のお引き立てを賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。