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2010年12月13日

言葉もない「月山」

 去る6日、サントリーホールで林英哲さんのソロコンサートがおこなわれました。英哲さんにとって11年ぶりとなるソロコンサートは、タイトルも11年前の「月山」に続く「月山II」。11年前の記憶をおぼろに思い出しながら見た今回の舞台は、しかし11年という歳月によってさらに力を蓄えた大樹のごとく、すさまじいばかりの気迫と執念と円熟味が凝縮した一期一会の舞台でした。
 大地を踏みしめて毅然と踏ん張る両の足、すっくと伸びた背筋、阿修羅のごとく変幻自在に躍動する両腕と、そこからはじき出されるスピード感のある音魂。ことに40分あまりにわたる大太鼓ソロはたとえる言葉もないほどの壮絶さで胸に迫り、その場に居合わせたことの幸福をしみじみと感じさせるものでした。2010年の年末、まことに豊かな舞台を見せていただきました。一人でも多くの太鼓打ちの皆さんにも、ぜひ見ていただきたかった舞台です。

 その週、10日金曜日は、長崎県を拠点とする知的障害者によるプロの和太鼓集団「瑞宝太鼓」の活動をドキュメントとしてまとめた映画の試写会が有楽町で催され、翌11日は静岡県御殿場市の社会福祉法人富岳会の「富岳太鼓」が御殿場市民会館で自主公演を開催。さらに今週17日金曜日から19日日曜日は「鼓童」の12月公演と、各地で演奏会が続きます。師走の多忙な時期とは思いますが、来年に向かって英気を養うためにも、時間をみつけてぜひ会場に足を運んでみられてはいかがでしょうか。

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