2014年11月15日
それぞれの芸風、また楽しからずや
前回のブログでお知らせしたように、8日と9日、伊勢神宮内宮の門前町である「おかげ横町」一帯で毎年恒例の「神恩感謝太鼓祭」が、今年も12団体の出演により、賑やかに行われました。毎年おなじみの三重県「熊野鬼城太鼓」や、昨年は台風の影響で出演できなかった「八丈太鼓」、今年初出演の「英哲風雲の会」「鼓童」など、多彩な顔ぶれによる競演。それぞれの演奏を聴き、打ち手の芸風を表現する三つの型があるように感じました。
一つは「太鼓打ち」。豪快に太鼓を打ち込むタイプ。二つ目は「太鼓奏者」。文字通り、きれいに音を紡いで太鼓を「奏でる」タイプ。そして三つ目が「太鼓芸人」で、根っからの太鼓好き、聴き手とひとつになって芸のキャッチボールができる人。そんなことを思いながらあらためて舞台を眺めるのも、また楽しからずや。こうした個性ゆたかな競演が楽しめるのも、太鼓芸能が成熟してきた証しと思います。
ところで、この太鼓祭で不思議な体験。おかげ横町の「太鼓櫓」で鼓童の見留さんが「大太鼓」を演奏した際、その響きはこれまでに聴いたことのないほど強く骨太く、櫓の天井に反射して轟々と鳴り響き、思わず太鼓に見入ったものでした。「いやあ、良く鳴るなあ」。翌日、その太鼓は革が破れ、無惨な姿に。そういえば、昨日のとびっきりの響きは、太鼓が極楽往生に臨んだ断末魔の絶叫だったのかも。太鼓に生命が宿っているとするなら、まさにその最期を看取ったような、稀有な体験でした。
同じ日、福島では斎藤通夫さん率いる「愛宕陣太鼓連響風組」の結成20周年記念公演。「連なる響き風のごとし」を自認する斎藤さんらしい全力疾走の舞台だったと聞き、さらに25周年、30周年記念公演を楽しみにしています。
神恩感謝太鼓祭に出演された皆さん、愛宕陣太鼓連響風組の皆さん、お疲れさまでした。
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