2015年7月27日
連日の猛暑の中、太鼓の響きとともに
大分県の久住町を拠点として国内外で演奏活動をしている太鼓集団「DRUM TAO」の新しい演目「2015年全国ツアー 百花繚乱」の東京公演が7月16日から始まりました。今回は、ミュージカルやオペラなど幅広く演出を手がけている宮本亜門の演出で、衣裳はコシノジュンコ。舞台美術も俵屋宗達ふうの金箔を多用した派手でゴージャスな雰囲気が江戸好みで、天王洲銀河劇場で10日間にわたるロングラン公演には若い世代も含めて連日ほぼ満席状態の観客動員。そのうえ公演終了後の受付には12月の次回公演のチケットを求める人が長蛇の列をつくり、さらにびっくり。初日の公演後におこなわれたレセプションには、阿部総理夫人の昭恵さんや、辰巳琢郎などの芸能人、広告代理店の電通やNHKなどの報道関係者まで実に多彩な人々が集まり、まさに時代の先端を象徴しているような顔ぶれ。舞台づくりも含め、あらゆる面で新しい時代の太鼓文化の一つのありようを示唆しているようにも思えました。
翌17日は一転して見事にシンプルな舞台。渋谷公会堂で開催された「秀明太鼓 地球 自然の詩」の公演は、中央に5尺5寸の大太鼓、その左右に4尺の大太鼓を配し、人間が生きるために最低限必要な、空気、水、光、気などが凝縮したような空気感。ひとしきりの大太鼓の後に、空気の粒の中を縦横に這っていくような妖艶な藤舎流の笛の音。これほどの音色、旋律がほかにあろうかと思うほど美しく、まさに日本の舞台芸能の一つの姿を見届けた心地でした。
一方、わが白山市では、16日から「白山国際太鼓エクスタジア2015」の仕込みがスタート。17、18日のリハーサル・ゲネプロをへて、19日の本番では各出演者の気合いも充分な演奏で無事に公演終了。明年はまた新たな舞台に挑戦したいと、早くもあれこれ構想を思い描いている今日このごろです。出演者の皆さん、スタッフの皆さん、白山市関係の皆さん、どうもありがとうございました。
こうした日々の中、思いがけない訃報。40年近くのおつきあいをいただいてきた香川県の「善通寺龍神太鼓」の石井響宇山さんが24日に亡くなられたとのこと。昨年、高松の病院に見舞った時には元気に見送ってくれ、その後退院されて今年5月には大太鼓の張替に来られましたね。息子さんと4tトラックで善通寺から白山市までの往復の道のりは、今にして思えばだいぶつらいものだったでしょうが、それ以上に息子さんへの形見のつもりで革張替に同行された親心。きまじめで義理堅い石井さんの葬儀にはお弟子さんを含めて多くの人が参列し、あらためて故人の遺徳をしのぶ思いでした。
送り太鼓の鳴り響く中、石井さん、どうかやすらかにおやすみください。心よりご冥福をお祈りいたします。
(送り太鼓を演奏する石井さんの息子さん)
2015年7月15日
ボクシング観戦で興奮
12日、小松市で開催された「ザ・おやじファイト石川大会2015」の観戦に出かけました。このイベントは、プロ・アマを問わず30歳以上の健康な男性で、ボクシング経験者かジム練習生であれば、誰でも参加できるボクシング・スパーリング大会。アメリカ・ロサンゼルスで公認会計士をしている知人の大石龍太郎さんが出場するため、久し振りにボクシングのナマ観戦。大石さんは56歳の日本フェザー級チャンピオン。私はリングから3mほどの最前列の席にすわり、13試合が行われた第1試合からすっかり興奮。30歳代から50歳代までの「おやじ」たちが一心不乱に相手に立ち向かい、「バシッ」と肉体がぶつかり合う音を間近に聞いていると、なんのかけひきもなく体力が続く限り立ち上がる、人間の原点にふれる思いで試合に熱中しました。
健闘の甲斐あり、大石さんはフェザー級の中部チャンピオンに。大石さん、そして出場されたすべてのおやじさんたち、ご苦労様でした。
2015年7月 9日
岐阜で、兵庫で、魂の響き。「長い間お疲れ様でした」
去る6月28日、岐阜県の「高鷲太鼓」さん35周年と「清流太鼓」さん15周年の記念公演がありました。両団体を束ねてきたのは、岐阜県太鼓連盟の会長も務めたことがある服部勝利さん。ビートルズ世代で、若いころはドラムをたしなんでいたという服部さんには教えられることが多く、地域のコミュニティを大事にすること、それぞれが活動できる場を設けるのがいかに大切かを学びました。今は亡き世界的な作曲家の石井真木さんと懇意で直筆の楽譜を所有されていることも、知る人ぞ知る事実。現在、我が社が土・日も店をあけているのも服部さんのアドバイスによるもので、「土曜・日曜に休んでいたら、県外から来る人は困るだろう」と言われたことがきっかけ。以来、年末年始のほかはほとんど休業なしで25年。そうしたことも含め、服部さんには感謝でいっぱい。どうかこれからもご活躍を。
その週の中ごろから、我が社では玄関先に笹竹を設置。七夕を前に社員らが短冊などを飾っていましたが、意外にも「短冊を書かせて」というお客さんが多いのにびっくり。子供さんたちもせっせと願いごとを書き込み、嬉々として笹に結びつけていました。今はこんな行事をする所も少なくなっているのでしょうか。ともかく、思いがけない嬉しい賑わいでした。
そして週末の5日、兵庫県では「天元太鼓」さんが千秋楽の公演でいとおしむように最後の響きを打ち出していました。玉田文也さんと今井進さんのコンビによる天元太鼓は、地域で活動する太鼓チームを巻き込んで、毎年、加東市東条コスミックホールで「天元太鼓と郷土の太鼓衆」と名づけた無料の演奏会を続けて20年。この節目の会を機にバチを置くことを決意したという玉田さんの胸の内は、長いおつきあいをさせていただいてきた私には察するにあまりあります。
その玉田さんの、「永年愛用した太鼓を、地域で活動する若者たちに使って欲しい」という志に心を打たれ、あれこれ思案した結果、東日本大震災で被災したことにより不自由な環境で太鼓を続けている団体に引き取っていただくことになりました。どうか天元太鼓の思いを強く受け止め、太鼓に魂をこめて打ち込んで欲しいものです。
玉田さん、今井さんには、長い間、本当にご苦労さまでした!