2015年11月25日
意匠登録済みの浅野太鼓の釻が模倣される不思議
近ごろとみに思うこと。その一つが太鼓胴の釻と座金の意匠について。我が社は1970年代に太鼓芸能が舞台化されたことにともない、舞台で大きな存在感を放つ太鼓の意匠に取り組んできました。デザイナーや刀匠にも知恵を借り、その結果生まれたのが、今の浅野太鼓のトレードマークとなっている釻の形。さっそく特許庁に意匠登録の申請を果たし、その釻を取り付けた太鼓だけが浅野太鼓の認定品の証としてきたのが、どうも同業他社に類似の釻が出回っているのが現状。一部の業者に至っては、ほとんど模倣ともいえるほどに酷似しており、はてさてものづくりの商慣習を心得ておいでなのか。意匠登録という制度の意味をもう一度考えあらため、姿勢を正して欲しいものと、切に願う今日このごろです。
2015年11月19日
太鼓界を変えたレオさんのライブで親心
15日日曜日、金沢市寺町の本因寺で、レナード衛藤さんのライブ「レナード衛藤ブレンドラムスツアー」がありました。北陸でのライブは10数年ぶり。しかも今回の会場は法華宗(本門流)寺院の本堂ということで、どんな演奏が聴けるかと、楽しみもひとしお。開演時、静かに照明が落とされると同時に、すっと太鼓に向かって歩む呼吸の見事さにまず感動。続いて熟練した太鼓と、息のあったタップダンスとのコラボレーションで、あっという間の2時間。終始、立ち居振る舞いの小気味良さにふれ、初めて舞台にかつぎ桶を取り入れて太鼓界を変えたレオさん、初めて平太鼓の伏せ打ちをして演奏スタイルを変えたレオさんをしみじみと眺め、「たいしたもんになったな~」と、親心のような心境のひと時でした。
2015年11月12日
伝えることの難しさを痛感
(公財)日本太鼓財団からご依頼をいただき、全国太鼓講習会において、太鼓の話をさせていただいています。9月に宮城県大崎市、10月に北海道岩見沢市での講習を終えましたが、どちらの会場でも太鼓について学ぼうとする人が多く、太鼓を打つという行為に真摯に向き合う姿が、地方の力をつくっていることをあらためて実感しました。
そうした受講生の皆さんに対し、私はといえば話すのが苦手な上に勉強不足を痛感し、いつも冷や汗が出る思いです。こうした機会をいただいたことで、伝えることの難しさを痛感しています。来年2月に長崎県大村市で最後の講義があるので、その時にはもう一度勉強し直して、少しでもリベンジできるよう頑張ります。
さて、今月は毎年恒例、伊勢神宮内宮「おかげ横丁」での「第13回神恩感謝日本太鼓祭」を先週末に終えたところ。どうしたわけかここ3年ばかりは、2日間の日程のうち1日は必ず雨にたたられるのも恒例。それでも横丁の中心で屋根のある「太鼓櫓」に舞台を集中し、30分間隔でたくさんのチームが演奏を披露。観客に汗が飛ぶほどの至近距離で、スピード感のある打ち込みを特徴とするチーム、ゆるやかなリズムの中に風景表現しているチーム、芯のある音粒で音楽づくりをしているチームと、それぞれの特徴を感じながらの太鼓三昧。伊勢神宮参拝の善男善女とともに、太鼓を堪能した祭りでした。