2019年10月23日
台風19号で被災された皆さまの一日も早い復旧を祈ります
11日に日本本土に上陸した台風19号により被災された皆さんには、心よりお見舞いを申し上げます。
台風が長野県一帯で大暴れして千曲川の堤防が決壊した12日から13日にかけて、私も太鼓の納品のために上田市に向かっていましたが、なんとか洪水を回避することができ、途中で惨状を目にしながら帰社することができました。現地には今も大きな爪痕が残っている様子、どうか一日も早く復旧が叶うよう祈るばかりです。
その週末、高知県春野町で、土佐和太鼓文化研究所「一響館」の第14回和太鼓コンクール。今年は青少年の部に9団体、一般の部に9団体、そして今回から新しく加わった作曲・独奏の部に9人が出場。中でも独奏の部で小学3年生の女子が演奏した締太鼓の演奏は素晴らしく、左右均等なバチさばきと、強弱・緩急の自在な演奏でした。
青少年の部のあじさい太鼓春駒B『龍』の演奏は、心ひとつにし、音の風景を見事に演奏し、その中に太鼓演奏のもっとも重要な要素である緊張感が見事に表現され、感心するばかり。この緊張感が聴く者の胸を揺さぶり、感動の境地に誘う原点であることに、あらためて思い至った次第です。
これも14年間の蓄積と、コンクールを振り返れば、一響館の主宰者である明神宏和先生がこのコンクールを立ち上げたのは78歳の時。今92歳になられ、ますますお元気な先生は、もともと絵を描き、バイオリンを演奏する芸術家であり、小学校の教頭を辞された後は生涯学習の先駆者として活動された偉大な人物。そうした先生と共にこのコンサートに関われたことは私の大きな誇りであり、喜びです。私も今年72歳になり、正直「そろそろか」と考え始めたところですが、先生を見ていて、私などまだまだ「ひよっこ」だと思い直し、もう少し頑張ってみようと元気をもらいました。先生、コンクールお疲れ様でした。そしてありがとうございました。これからもご指導を、どうぞよろしくお願いいたします。
2019年10月16日
円応教の山車納品、かかわった皆さんすべてに感謝
この春から製作に着手していた兵庫県円応教の山車がようやく完成し、予定通りに10月1日納品。5日・6日の円応祭で無事に曳き回しを終えました。棟梁として槌をふるった職人の世戸洋一さんにとって、本格的な山車の製作は平成24年の熊谷市荒川区のうちわ祭り山車、今年7月に納品した北海道江差町の姥神大神宮例大祭の山車と、いずれも大規模な山車に続く3台目。今回の最大の難所は銅板葺・入母屋造りの大屋根で、本人の弁によれば「夜も眠れないほど」悩んで取り組んだ大仕事。しかし流した汗に比例するほど立派な仕上がりで、私も責任者として安堵。この技術がしっかり後継者に継承されていくことを願うばかりです。というのも、まもなくの11月、世戸さんは無事に29年勤続の責務を果たし、定年を迎えます。長い間木工の現場長として腕をふるい、数々の太鼓台、山車・屋台の製作、その他木工に関わるさまざまな作業にあたっていただき、まことにお疲れさまでした。
尚、今回の山車製作にあたり日になり影になり力添えして頂いた三重県の長谷川先生やご家族をはじめ皆様にこの場を借りて感謝と御礼を申し上げます。
2019年10月12日
響和祭の第11回、お疲れさまでした
9月29日、川崎市の「すくらむ21」で、「太鼓の里響和館」の発表会「響和祭」の第11回目が開催されました。今回は各種太鼓教室が37組、講師陣によるステージが5組と、計39組による演目が繰り広げられ、出演する皆さんも客席で見守るご家族の皆さんも、それぞれに和やかな雰囲気のうちに幕を閉じました。この響和祭、毎年拝見して思うのは、受講生の皆さんの技倆が年ごとに着実に上達していること。そして講師陣にはチャッパの第一人者・金子竜太郎さん、かつぎ桶の先駆者・富田和明さん、大太鼓は鼓童の名誉団員藤本吉利さん 小島千絵子さんをはじめ、それぞれに太鼓文化の黎明期からこの世界を支えてこられた先達が指導を担ってくださっているのは、大変誇り高いこととあらためて感謝の気持ちでいっぱいです。そうした素晴らしい講師の皆さんから、太鼓だけでなく人生観なども学び、新たな太鼓愛好家の層が生み出されていくことを願っています。受講生の皆さん、一年間のお稽古、本当にご苦労様でした。また講師の皆さん、どうもありがとうございました。
それにつけても、我が子を褒めるのは少々気恥ずかしいのですが、敢えて言わせていただけば、館長の町子、ここまでよくやってきた11年間でした。元々努力家ではありましたが、今あらためてその力を感じています。こうした一人一人の力が浅野太鼓全体の力の源となり、確かな戦力となっていることを、次の世代を担う者たちにぜひわかって欲しいと思う今日このごろです。
2019年10月 1日
初秋にて
いやはや気がつけば今日で9月も終わり。今月は各地でコンサートが多く、また太鼓の納品も前回のブログでご報告した福岡に続き、明治神宮さまをはじめ各地へ向かい、相変わらず腰の定まらない日々。中でも印象的だった公演は、14日の神谷俊一郎さん主宰の「まといあわせ」と、14・15日に行われた「天邪鬼」代表の渡辺洋一さんの芸道50周年記念公演「新しい風」。「まといあわせ」は愛知と東京の若い打ち手たちが「太鼓を通しての交流」をテーマに2017年に立ち上げた「まといの会」のツアー公演で、若者たちが新しい芸の可能性を探る初々しい雰囲気。一方の「新しい風は」文字通り渡辺さんの50年にわたる太鼓道の集大成で、さすがベテランの芸が光る重厚な舞台。新しい力×熟練した芸道という二つの舞台を堪能し、「太鼓文化の今」を実感したところです。
渡辺洋一さんの芸道50周年記念公演「新しい風」より
また太鼓の納品では、7日に明治神宮へ。昭和55年に奉納した5尺の大太鼓為、搬出作業に、若い職人5人と合流しての作業でしたが、拝殿からの搬出・入をはじめ、境内での移動などに若干の不手際もあり、あらためて大太鼓運搬の作業の難しさを痛感。今回はとくに入社して1〜2年の若い職人が多かったこともあり、これからいろんな経験を積ませて、太鼓づくりだけでなく、納品の作法やどんな場面にも瞬時に対応できる機敏さを培って欲しいと願った次第です。皆さんのもとに納品に上がった際は、どうかご指導のほど、よろしくお願いいたします。
そして先週25日は糸魚川の越王神社へ2尺4寸納入、宮司さまより海の幸・山の幸盛りだくさんの心のこもったおもてなしをいただき、感謝・感謝。あらためて御礼を申し上げます。
さて、昨日は、東京の太鼓の里響和館が毎年開催する「響和祭」の第11回目。そして明日は先般来取り組んできた山車の兵庫県への納品。慌ただしい日が続きますが、どこかで見かけられることがあったら、ぜひお声を掛けてください。よろしくお願いいたします。