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2020年7月22日

太鼓界のS字カーブ、今後のゆくえ

  今さら申すまでもないことですが、日本の太鼓芸能は古いようで新しく、太鼓がコンサートという形で舞台上で演奏されるようになったのは1970年代以降のことです。それ以前、戦後1960年代から『御陣乗太鼓』や『助六太鼓』、川田公子さん、大場一刀さんなどが少しずつテレビなどに出演するようになり、また北陸では加賀温泉郷の各旅館が宴会の余興に太鼓を上演したことなどがきっかけとなり、石川、福井の両県で太鼓芸が興隆。そして1970年代、佐渡島を拠点とした「佐渡の國鬼太鼓座」が海外で華々しく太鼓の公演を行ったことを契機に、日本の太鼓芸能は広く世界に知られることになりました。その結果、今やヨーロッパ、アジア、南北アメリカ、オセアニアと、万を超える太鼓チームが国境を越えて世界各地で活動するようになりました。

 ですが、今回の地球規模での新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ほとんどの太鼓イベント・コンサートが中止または延期となり、多くの演奏者が無念にもバチを置いている状況と察しています。私自身も、まことに地団駄を踏むような思いです。

 しかしながら、ふたたび感染が急激に拡大しているこのところの苦しい中でも、なんとかこの状況に突破口を開こうと、観客を大幅に縮小したコンサートやyoutube配信などに挑戦し始めた演奏者の一部もおられます。こうした活動が、せっかく国内外に浸透した太鼓文化の熱を衰微させない助けになるよう、切に願っています。

 思えば太鼓芸能の発展は、経済活動のS字カーブによく似ています。1970年代から急成長の一途をたどり、1900年代以降あたかも大爆発を起こしたかのように大きく伸びたものの、このコロナ禍によって頂点から下降しつつある実態。こうした時こそ、下降をどう留めるか、太鼓文化研究所理事長として、もっともっと勉強しなければならない使命感を感じています。

 ちなみに、何か事を成すには「情熱」「行動力」「使命感」の3要素が欠かせません。その言葉を胸に、今日も自分を叱咤激励している昨今です。

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