2021年11月24日
高校生の太鼓に未来への希望
さる13日に滋賀県で開催された第41回近畿高等学校総合文化祭滋賀大会の郷土芸能部門では、コロナの感染対策にだいぶご苦労されたご様子ながら、それぞれの出場団体の演奏終了後に代表者2人が緞帳の前に立って講師の講評を聞くという新しいスタイルでおこなわれました。今回、私はただ一人の講師として参加(助手に浅野響葉)しましたが、ここまで50余年にわたって続いた太鼓文化が、高校生といえどもしっかりと地域に根付いている印象を新たにしました。たとえば倉吉の高校では郷土色豊かな曲調がなんともノスタルジックな雰囲気をかもし、太鼓の原点はそうした地方色を大切にすることから始まるのかも、と一人うなずきつつ、またある高校は長胴、桶胴、締太鼓など数種の太鼓を上手に組み合わせて音の風景を紡いだりと。それぞれにレベルの高い演奏を聴かせていただきました。高校生の部活といえば活動期間はたった2年間ですが、その短い間にも真剣に太鼓に立ち向かう部員の皆さんと顧問の先生の努力を間近に感じ、この文化が日本に末永く受け継がれていくことを確信した一日。本当に良い舞台に立ち会わせていただき、関係各位に感謝、感謝でした。
2021年11月12日
神戸、島原への旅で思ったこと
このところ新型コロナの感染がだいぶ沈静化してきたことに勇気を得て、久し振りに遠出しました。まずは11月6日、神戸で「和太鼓松村組」の公演「伝承」へ。太鼓界もここ2年近くは公演を控えることが多かったので、どんな舞台を見せてくれるか期待満々。近年は公演タイトルにわかりにくい言葉を使うことが多い世の風潮の中、さすが松村さん、いかにもストレートにコロナ禍の中で沈殿していたものをすべて吐き出すかのような密度の濃さ。こうした「松村色」をなんとしても次の世代に伝承しようという意気込みが感じられる構成に感動。コロナ禍を経て、今後どのように太鼓文化をつないでいけるか私自身思うことが多い日々ですが、今は楽器店を離れてこれまでとは違う目で舞台を見ることで、また今後の方向をしっかり見定めたいものです。
翌7日は、長崎県島原市で社会福祉法人南高愛隣会の「故田島良昭顧問を偲ぶ会」へ。去る8月2日、病により活力あふれた76年の生涯を閉じた氏の人脈の広さはすでに多くの人々が知るところで、偲ぶ会には最高検察庁検事総長はじめ蒼々たる名士が居並び、代表献花は元厚生労働事務次官の村木厚子氏。振り返れば45年前に障害をもつ人々のための施設「南高愛隣会」を立ち上げ、理事長として理想の施設づくりを目ざして東奔西走、一つの時代を駆け抜けた田島氏の功績を思うと、このように惜しまれる花道はいわずもがな。それに引き替えるのもおこがましいながら、我が身のなんと小さなこと。せめて氏の残した「身を焦がし 一隅を照らす 蝋燭に」の言葉を胸に刻み、私も胸に小さな蝋燭を灯そうと決意したひと時でした。田島顧問、どうかやすらかにおやすみください。
2021年11月 3日
「太鼓の泉 響和館」いよいよ開館!
2021年11月1日月曜日、大安吉日、天気予報は曇りのち快晴。
本日、「太鼓の泉 響和館」開館しました。私の人生の新たな出発です。
早朝、崇敬する白山比咩神社に毎月恒例の「おついたち参り」。1988年の建設以来私の砦としてきた「太鼓の里資料館」と別れ、新たに「太鼓の泉響和館」を立ち上げたことを神前に報告。これから何年、何が成せるかわかりませんが、とにかく振り返った時に「やってきてよかった」と笑って言える時間の積み重ねとなるよう祈りました。午前11時、同神社から響和館に出向いてくださった神官の修祓に続き、威勢良く焱太鼓の祝い太鼓。
遠路、早朝に祝いにかけつけてくださったたくさんの方々とともに聴き入る太鼓の音色は、常よりじんと胸に染みわたりました。ここに至るまでの二年あまり、多くの方々からさまざまなお励ましをいただいたこと深く心にかみしめ、終生忘れ得ない一日となりました。ただただ感謝あるのみです。どうかこの響和館を、末永くよろしくお願いいたします。