最近のブログ記事

検 索

リンク集

タグクラウド

月別アーカイブ

2022年8月18日

しばし酷暑を忘れて

 去る9日、鹿児島県霧島市の「天孫降臨霧島九面太鼓保存会」創始者であり名誉会長だった脇元勝巳さんが、81歳で逝去されました。保存会設立から50年、11日の通夜、12日の葬儀ともに脇元さんをしのぶ多くの人が参列され、あらためて脇元さんの功績の大きさを目にした思いでした。

0818.2022.a2.jpg

 私が初めてお会いしたのは昭和53年、霧島に伝わる天孫降臨神話などを元に太鼓で郷土芸能を立ち上げ、いつ、いかなる時も「九面太鼓」の文字を大きく刻んだ5尺の大太鼓で霧島をアピールされていた姿は忘れられません。そうした努力の甲斐あり、保存会がいち早く霧島市の無形文化財に指定されたのは、やはり先見の明を持ち合わせていたからでしょう。もちろん音づくりにもこだわり、革張りの際には細かい注文をいただいたり、太鼓界で初めて4トントラックを改造して舞台をつくって驚かされたりと、誰にも先がけて九州に太鼓文化の礎を築かれた人でした。近年は体調が思わしくなくお目にかかる機会も少なくなっていましたが、脇元さんのご逝去は、まさに「霧島の巨星落つ」で、「残念」のひと言。今はただ残されたものの大きさを讃えつつ、心よりご冥福をお祈りするばかりです。 

0818.2022.a5.jpg 0818.2022.a3.jpg 0818.2022.a4.jpg

 一日置いて、14日は岐阜羽島で秀明太鼓のコンサート。日ごろより指導されているのは人間国宝で笛奏者の藤舎名生先生。この日も作曲・演出・構成を一手に手がけられた舞台は、宇宙と人間とのかかわりまでも彷彿とさせるような壮大な響き。最後の曲が終わり、緞帳が下りたあともじわじわと心にしみるような余韻を感じ、世の中にさまざまな主義・趣向の太鼓がある中で、「これぞ大人の太鼓」と思わせる舞台でした。皆さん、お疲れ様でした。

| コメント(0) | トラックバック(0)

2022年8月 4日

エクスタジアで、あらためて太鼓の奥深さに新鮮な感

 今年の「白山国際太鼓エクスタジア2022」を終えて2週間。実施直後の胸の高まりが鎮まり、ようやく客観的にステージを振り返ることができる今日このごろ、今またあらためて太鼓の面白さを実感しているところです。

 今回は二部構成の第一部に「林英哲コンサート」、第二部に「千響繚乱」として県内外の6団体が競演するというプログラム。英哲コンサートはいわずもがな、ますます芸に深みが感じられる演目「澪の蓮」は、まさに「ぐうの音」も出ない見事さ。先般、アジアにおける著名な活動をした文化人に贈られる、大変権威のある「福岡アジア文化賞」の、しかも「大賞」を受賞されたことがいかにも納得できる無二の舞台。第二部では、地元の青少年チーム「和太鼓サスケ」に続き、隣接する川北町の「手取亢龍若鮎組」ともに、一心に太鼓に向かうこどもたちのひたむきさに胸を熱くし、さらに能登の「鵜浦豊年太鼓」、手許の「焱太鼓ユニット」、そして福井県越前町の「OTAIKO座明神」、父子4人で絶妙の技のコンビネーションを見せた「三宅島芸能同志会」まで、それぞれの個性豊かな芸にどっぷりとひたった90分。中でも海の神と山の神に一年の豊穣の祈りと感謝を捧げた祭り太鼓の、底抜けの陽気さと力強さ、人間臭さのあふれた太鼓は新鮮で、まだまだ各地に面白い芸が眠っていることを見せつけられた一幕でした。

IMG_8717.1.jpg

 明年のエクスタジアは、石川県が会場となる第38回国民文化祭「いしかわ百万石文化祭2023」における白山市のシンボル事業として、11月5日に開催します。また新しい切り口から太鼓をお見せできるよう工夫していきますので、ぜひお越しくださるようお待ちしています。

 

| コメント(0) | トラックバック(0)