2024年12月 6日
78度の謎
いやはや、まさに光陰矢のごとし。ついこの前2024年の年明けを迎えたばかりの心地ではあるが、月ごとのカレンダーを見ればもはや最後の1枚。いつの間にか過ぎた日々に、この一年、どれほどの足跡を刻めただろうか。
などと詮ないことを思いつつ、目の前の桶胴をながめているうち、ふと、不思議なことに思い当たった。
今では多くのステージで誰もが当たり前のように使っている桶胴太鼓の英哲型台。この台はその名の通り、ソロ奏者の林英哲氏の考案による。今から50年ほど前、英哲さんから図面を渡され、記された指示通りに組み上げた。そしてでき上がった台の前の2本の柱が、地面に対して78度の傾斜を持つ。この78度、直立でもなく、倒れすぎでもない、絶妙の角度。考案した本人は、どのような計算で78度という角度を編み出したのだったろうか。
あれから50年が過ぎた今も誰も角度を改良することがないことを考えれば、打ちやすさはもちろん、デザイン的な美しさや、太鼓を支える力学的なバランス、立奏する身体のラインとの対峙性、はたまた・・・などと、私自身、あの時は何の疑問もなく製作した台ではあるが、今になって妙に気になってきた。
次に英哲さんにお会いする時には、78度という角度が演奏にもたらす効果や、角度を含めた工業的な効果など、ぜひおたずねしてみたいものだ。
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