意匠登録第1242921号。浅野太鼓の顔ともいえる太鼓座金と上釻のデザインについて、特許庁の意匠原簿に登録された番号。今では多くの太鼓メーカーが類似したデザインを用いていますが、かつては実用一辺倒で菱形の鉄板に細い鉄輪を取り付けただけの簡素な座金を、現在のように装飾性豊かで、しかも格調高いオリジナルデザインとした魁(さきがけ)は、浅野太鼓なのです。
昭和40年代、松任市(現在の白山市)在住の刀匠で人間国宝の隅谷正峯氏(1921−1998)のアドバイスを受け、刀の鍔の意匠にヒントを得て考案した独特のデザイン。吉祥文様の一つで「いかなる困難も克服し、未来永劫にわたって栄える」との意味を持つ唐草模様と、「高貴」を花言葉とする十二弁の菊花との組み合わせは、日本の伝統楽器を代表する和太鼓のエンブレムとして、もっともふさわしいデザインと浅野太鼓楽器店は考えています。
浅野太鼓楽器店はそのほか、太鼓メーカーとしては日本で唯一「グッドデザイン賞」(<公財>日本デザイン振興会)をこれまで4度にわたって受賞したのをはじめ、時代の求めに即応した新しい機能をもつ太鼓の開発や、完全オーダーメードシステムによる太鼓製作など、つねに積極的に未来を見据えた太鼓づくりを行っています。すなわち「意匠登録第1242921号」は、浅野太鼓楽器店の技術力と開発力、そしてブランド力を証明する誇りの番号でもあるのです。